【代数学】Z[x] が単項イデアル整域でないことの証明

 

こんにちは、数学科大学生の中の谷のナウシカです。

 

今回は、「単項イデアル整域」「整数係数の一変数多項式環 Z[x]」が単項イデアル整域でないこと」を証明します。

 

単項イデアル整域とは

 

単項イデアル整域の定義

整域 R の任意のイデアルが単項イデアルであるとき、つまり、a ∈ R によって (a) となるとき R を「単項イデアル整域」という。

 

補足『整域』の定義

環 R が可換環で、R の 0 でない任意の元 a, b に対し、ab ≠ 0 となるとき、R を整域であるという。

補足『イデアル』の定義

R を可換環とする。部分集合 I ⊂ R が次の条件 (1), (2) を満たすとき、R のイデアルであるという。

(1) 任意の a, b ∈ I に対し、 a + b ∈ I である。( I は R の加法に関して閉じている)

(2) 任意の a ∈ R、 x ∈ I に対し、ax ∈ I である。

補足『単項イデアル』の定義

Rを環、a を Rの元とする。

Ra = { ra |r ∈ R } を単項イデアルとよび、(a) と表す。

 

単項イデアル整域でない例「整数係数の一変数多項式環 Z[x] 」

 

単項イデアル整域でない例

整数係数の一変数多項式環 Z[x] は単項イデアル整域でない。

 

以下、その証明をしていきます。

 

Z[x] のイデアル (2, x)が単項イデアルでないことを示す。

 

(2,x) が単項イデアルだと仮定する。

(2, x) = ( f(x) )となる f(x) ∈ Z[x] が存在する。

2 ∈ (2, x) = ( f(x) ) なので、2 = f(x) g(x) となる、g(x) ∈ Z[x] が存在する。

そのとき、0 = deg 2 = deg f(x) + deg g(x) なので、deg f(x) = 0

よって f(x) = a ( a ∈ Z, a ≠0 )

すると x ∈ (2, x) = (a) となるので、x = a ( bx ) = abx となる b ∈ Z, b ≠ 0 が存在する。

このとき a ∈ (a)、b ∈ Z より ab ∈ (a)

ab = 1 なので 1 ∈ (a) = (2,x)

よって 1 = 2p(x) + xq(x) となる p(x), q(x) ∈ Z[x] が存在する。

ここで x = 0 を代入すると、1 = 2p(0) となる。ただし、p(0) ∈ Z

しかし、Z は体でないので、2 は逆元を持たない。よって矛盾。

ゆえに (2, x) は単項イデアルでない。

以上より Z[x] は単項イデアル整域でない。

 

MEMO
一般に、集合Rが体でないならば、R[x]は単項イデアル整域でない。

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