【微分積分学】『ε-N論法』を具体例とともに解説するよ

こんにちは、数学科大学生の中の谷のナウシカです。

 

この記事では『\( \color{red}{ \varepsilon – N}\)論法』について解説していきます。

 

微分積分学はニュートンやライプニッツが構築した分野だと言われています。しかし18世紀頃まで収束や発散、無限大といった概念があいまいなまま放置されていました。そのため、間違った結論に到達してしまったこともあったそうです。

19世紀頃になってようやくコーシーやワイエルシュトラスらが「微分積分学あいまい過ぎるからもうちょっと厳密に考えようぜ」と思いはじめました。そこで数列の収束を厳密に定義した『\( \color{red}{\varepsilon – N}\)論法』が考案されたのです。

 

定義

 

ε - N論法

数列 \(a_{n}\) が \(\alpha\) に収束するとは,

 

『\(\forall \varepsilon, \exists N \in \mathbb{N}\) \(s.t. \forall n \in \mathbb{N} \Rightarrow |a_{n} – \alpha| < \varepsilon\) 』が成り立つこと.

 

日本語に変換すると,

 

『任意の正の数 \(\varepsilon\) に対し, ある自然数 \(N\) が存在し, \(N\) より大きいすべての自然数 \(n\) に対し, \( |a_{n} – \alpha| < \varepsilon\) が成り立つこと.』

 

理解するためのポイント

 

  • \(\varepsilon\) はめちゃくちゃ小さな正の数. 任意なのでどこまでも小さくなる.
  • 自然数 \(N\) の値は \(\varepsilon\) を使って表されるめちゃくちゃ大きな数
  • 自然数 \(N\) は \(\forall n \in \mathbb{N} \Rightarrow |a_{n} – \alpha| < \varepsilon\) を満たさなければいけない.
  • 「数列と極限値との差がどれだけでも小さくなる」ことを「\(N\) の存在が保証している」

 

つまり、\(N\) より大きな数 \(n\) が \(|a_{n} – \alpha| < \varepsilon\) を満たすように \(N\) を \(\varepsilon\) を使って表せば、数列 \(a_{n}\) が \(\alpha\) に収束したと言えるのです.

証明するときには, 条件を満たすような\(N\) が存在していることを示しましょう!

 

具体例

 

数列 \(a_{n} = \frac{1}{n} \) が \(0\) に収束することを示せ.

証明

正の数 \(\varepsilon\) を任意に取る.

アルキメデスの公理より正の数 \(\varepsilon\) と \(1\) に対して, \(N\varepsilon > 1 \) となる自然数 \( N\) が存在する. (注)

つまり, 自然数 \(N\) を \(N > \frac{1}{\varepsilon}\) となるように取ることができる.

このとき, \(n > N\) となる任意の自然数 \(n\) に対し、

\( |a_{n} – 0| = |\frac{1}{n}| < \frac{1}{N} < \varepsilon \)

が成り立つ.

よって数列 \(a_{n} = \frac{1}{n}\) は \(0\) に収束する.

注 アルキメデスの公理

アルキメデスの公理『任意の\(2\)つの正の数 \(a, b\) に対し, \( na > b\) となるような自然数 \(n\) が存在する.』

(\(a\) がめちゃくちゃ小さな数で \(b\) がめちゃくちゃ大きな数だったとしても, \(a\) を \(n\) 倍すれば \(b\) より大きくなるようなむちゃくちゃ大きな数 \(n\) が必ず存在する!)

を用いることで, 条件を満たすような自然数 \(N\) がちゃんと存在していることを保証している.

 

 

まとめ

 

微分積分学のもっとも基盤となっている『\(\varepsilon – N\)論法』

一番最初に登場してくるくせにかなり手ごわいですが, しっかりと理解しておきましょう!

 

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